三宅島旅行記④ 噴火と共に歩む山 雄山へ

神社で聖なる力を受け取った後、本丸の火山へ向かいます。

ここまでの旅程はこちら。

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人類絶滅後の世界観 雄山へ

雄山環状線林道と呼ばれる山腹をぐるっと囲う道路を通り、山の方向に向かいます。

道路の名前にもあるとおり、この山は雄山(おやま)という名前で、度重なる噴火を続けてきた活火山です。

噴火の歴史については旅程をたどる中でご紹介します。

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山頂方面に向かう道。ディストピア感満載



 

 

ひらけた場所に到着しました。

レンガで舗装された道に火山由来の土が覆いかぶさっています。

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もともとこのあたりは「牧場公園」と呼ばれる三宅村が運営する村営牧場でした。

当時は牛やヤギと触れ合える広場や、テニスコートをはじめとするアクティビティ施設もある、観光客と地元民の憩いの場でした。

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しかし、2000年に起きた大噴火により、一帯はマグマに覆われました。

死者は奇跡的に0ながら、人々は島外への避難を余儀なくされました。

一方、その場に放置された牧場の動物たちは、草木も死に絶えた島の中で、その生涯を終えることになりました。

 

 

そんな悲劇的な歴史をもつ牧場跡には、当時の凄惨さを示す遺構が残されています。

マグマに飲まれたのか、あるいは付随する爆風の被害を被ったのか、痛ましい姿のままになった廃墟がそこかしこにあります。

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内側を覗いてみます。多少の清掃は入ってるかもしれませんが、当時爆散したガラスや流入してきた瓦礫がそのままになっています。

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廃墟と化した建物は他にもたくさんあり、鉄骨がドロドロに溶けて原型を失っているものもありました。

中には1983年の噴火以来、放置されっぱなしのものもあるとのことです。

当時の牧場は復興の象徴みたいなものだったのでしょうか。

牧場に訪れた人が廃墟を見て「噴火って怖いね〜。今は綺麗になってよかったね〜。」みたいな会話をしていたのかもしれません。

結局牧場は1983年を上回る噴火に飲まれてしまうという、やるせ無い運命を辿ってしまいました。

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マグマが走ったであろう尾根の跡です。

遠くから見るとこんな感じに見えているところ。

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ちなみに、道路は山頂に向けて伸びており、噴火以前は火口を望めるハイキングコースでした。

しかし現在は火口が陥没し、絶えず高濃度なガスが噴出し続けているということで立ち入り禁止になっています。

したがって、現状このあたりが三宅島で到達できる最高峰になります。

 

 

荒野にこだまする無機質な機械音

左側にある青いのは牧場の遺構、サイロです。

その横にある筒型の白いものは噴火後に設置されたらしく、比較的新しい装置に見えました。

この筒からは「ポーン…ポーン…」という音がなり続けていて、誰もいない広大な山に延々とこだましていました。

これがとても不気味で、自分たち以外の人類が絶滅し、残された機械と共存する世界にいるような雰囲気を醸し出していました。

(こういう世界観をポストアポカリプスっていうらしいです。僕と友人は興奮しっぱなしでした)

 

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後から調べたところ、この筒は「ドップラーソーダー」というらしく、大気中の火山ガスの濃度を測るために設置されているそうです。

(雄山はこの時もモクモクとガスを吹き出していました。)

これほどまでに誰もいない、自然の音も聞こえない場所にいたのは初めてかもしれません。

 

 

緑が戻りつつある雄山

気象庁のHPに噴火前後の雄山の写真が保存されていました。

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噴火前

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噴火後

引用:気象庁


 

青々とした山の姿は一変し、見渡す限りの荒野です。

我々が訪れた時も、枯れ草を除き草木は一片として生えていませんでした。

しかし、2017年ごろには火山ガスが大幅に減り、徐々に緑が蘇り始めたそうです。

www.asahi.com

 

いつの日か植物に覆われた雄山も見てみたいものです。

気象庁のHPには他にも当時の噴火の凄まじさがわかる写真が掲載されているので、興味がある方はご覧ください。)

 

 

 

そんな感じで、三宅島のメインスポットを見終えた我々は宿に戻り、翌日の観光に備えました。

2日目に続きます。

 

 

それでは今日はこの辺で。