飛行機とフェリーで恐山へ⑤ 地獄と極楽が混在する恐山へ
むつ市街から山中を走ること30分、恐山に到着です。
ここまでの旅程はこちらから。
地獄と極楽が共存する恐山
恐山は山全体が霊場になっており、いわゆる人々がイメージする「恐山」は山中にある「恐山菩提寺」というお寺です。
周囲には硫黄の臭いが立ち込めており、活火山であることを察すると同時に、えもいえぬあの世感が漂っています。
菩提寺の入り口には三途の川がかけられています。
ここから先はあの世です。一足先に死んだ後の世界を下見します。
威圧感のある仏像。
一つ一つがめちゃくちゃ大きい。近所の寺とはスケールが違います。
山門。
当時の僕は何を思ったのか写真を加工していました。
今振り返るとなんと余計なことをと思わずにいられません。
恐山 地獄編
境内にはガレ場のようなだだっ広い空間に遊歩道が整備されています。
菩提寺内は地獄を模した参拝道があり、1時間弱で様々な地獄を見て回る作りになっています。
参拝道の入り口あたりにある賽の河原。
なんで地獄で石積むんだろうと思っていましたが、これは親より先に死んだ子供が親不孝を詫びるために積み上げるのだそうです。
ということは大往生した人は積まなくていいのか?というか親不孝を詫びるために石積むってなんだ?
さらに、作業をしていると鬼がどこからともなくやってきて、せっかく積み上げた石を崩してしまうそうです。
そして再び積み、崩される…永遠に繰り返します。
親としては我が子がそんな非生産的な労働に従事させられるのはたまったもんじゃないので、現世でススキを輪っか状に結び、鬼を転ばせ、妨害を阻止するらしいです。
そんなことしたら鬼の怒りを買って余計ひどい目に遭わされるのでは…そもそも現世で結んだススキがあの世に転送されるってどういうシステムなんでしょうか。
気になりだすとキリがないので参拝道を進みます。
歩いていると、参道のあちこちに風車が見られます。
見渡す限りの自然の中にビビッドな色合いが指し、風が吹くたびにカラカラと音を立てて回る様がこの世ならざる雰囲気を醸し出しています。
なぜ地獄に風車があるのかというと、早世した我が子を不憫に思った親が、地獄でも遊べるおもちゃとして贈っているのだそうです。
今ならSwitchの方が喜ばれそうです。
恐山 極楽編
参道を進んでいくと突如視界が開け、リゾートビーチのような風景が広がります。
真っ白な砂浜にエメラルドグリーンの水面は沖縄のプライベートビーチのようです。
ここは宇曽利山湖(うそりやまこ)という湖です。
参道とは対照的に、極楽のような雰囲気です。
場違いとも思える砂浜に透き通った湖、普段感じることのない静寂は極楽と呼ぶに十分で、夢の中にいるようなふわふわした感覚に陥りました。
昔の人がここをあの世と表現したのも頷けます。
参道に戻ります。
改めて景色を見渡すと、山肌は真っ白な瓦礫と真っ青な緑のツートンカラーで、周囲は硫黄の臭いに包まれている。
普段暮らす場所からあまりにもかけ離れています。
滞在時間はものの1〜2時間、やったことは寺を廻っただけです。
ただ、参拝後に感じた満足感と晴れやかな心境は今までに感じたことのないもので、わざわざ飛行機とフェリーを乗り継いできてよかったと思える場所でした。
国内で10個行くべきところを挙げろと言われたら、おそらく僕は恐山を含めると思います。
当面東北新幹線は半額で乗れるみたいなので、JR東日本圏内の方は雪深くなる前にぜひ。
それでは今日はこの辺で。