宮城蔵王キツネ村へ① たどり着くのが大変だ
キツネは数多いる動物の中でもトップクラスにイカした生き物だと思う。
犬よりも野性味溢れるシャープな顔つきと、機能美の究極系のような完成されたフォルムに思わず見とれてしまう。
あんなにイケメンなのになぜペット需要がないのか。
どうやら他の動物と比べて躾が容易ではないらしい。したがって日常の中でその姿を見ようとすると、動物園に足を運ぶしかない。
ただ、そこらの動物園で見るのは難易度が高い。
飼育しているところは多いのだが、日中は住処にこもって寝ていることが多い。
ゾウやライオンのようなスター動物ではないのに、その姿をなかなか見せてくれないいけずな動物である。
そんなキツネをたらふく見てやろうということで、名前は有名なのに実際に行ったこと人がほとんどいないことでおなじみの蔵王キツネ村に向かった。
公共交通機関だけではまずたどり着けない 宮城蔵王キツネ村
蔵王というだけあって、宮城と山形の県境の山深い場所にある施設である。
この蔵王キツネ村、なんとも形容しがたい立ち位置の施設で、大きな括りでは動物園にカテゴライズされるのだろうが、元々酪農を営んでいたオーナーが、知り合いの養殖キツネを引き取り、何か有効活用できないかということで一般に公開し始めたらしい。
つまり、動物園を開くぞ、と意気込んで始めたわけではなく、成り行き上結果的に動物園になった、というわけである。
気軽に足を運べない場所に立地しているのも、こういった背景が関係しているのかもしれない。
気軽に足を運べない、と前述したが、それなりに有名な施設である。最寄りのターミナルまで行けば直通のシャトルバスなり、何かしらの公共交通機関があるだろうと考えていた。
結論として、そんな便利なものは(ほぼ)ない。
厳密には近くの旅館がキツネ村に送迎バスを出してくれているのだが、その旅館に宿泊しないといけない。
コミュニティバスもあるが、本数が少なすぎて、前入りしてないと出発時間に間に合わない。
都内から向かうのならば、結局レンタカーを使うしかないのだ。
新幹線とレンタカーでキツネ村へ
2017年8月某日、都内からキツネ村に向けて出発。
郡山は初めて降り立ったが、駅前に主要な施設がギュッと集まっているところが熱海駅と似た雰囲気を感じさせた。建物や人の密度に違いはあるが。
郡山からはレンタカーを用いて、1時間半ほどでキツネ村に到着。
道のりを実際に自分で辿ると、改めてその山深さに驚かされた。
この施設が「蔵王イタチ村」とかだったら、おそらく誰も向かおうとしないだろうアクセス難易度と、キツネという動物の引力を感じさせられた。
キツネ村は自分の身は自分で守るスタイル
キツネ村に到着すると、大きな動物のモニュメントが出迎えてくれた。
なぜゴリラなのか。
僕は間違ってゴリラ村に来てしまったのだろうか。
ゴリラの近くに説明書きがあった。
あんまり説明になってなかった。
この社長はなぜキツネではなくゴリラの像を選んだのか。
どんな背景があって500万円の像をポンとプレゼントしようと思ったのか。
なぜこの説明書きはもらった経緯ではなく制作費を全面に押し出そうとしたのか。
もやもやが余計に膨らみつつも、これ以上の情報は得られなかったので、諦めてゴリラ横を通過した。
また、エントランスにはこんな注意書きがかけられていた。
当村は普通の動物園ではありません。危険です。
ケガや物損は保証できません。
全て自己責任です。
キツネは人間に懐柔されないとは聞いていたが、半ば放し飼いされている手前、その野生は失われていないらしい。どうやら園内ではサバイバルな空間が展開されているようだ。
動物園に来たという甘えた心持ちは捨て、気を引き締めて受付に向かった。
そこそこ長くなってきたので、キツネ村内の様子はまた次回。
それでは今日はこの辺で。