三宅島旅行記④ 噴火と共に歩む山 雄山へ

神社で聖なる力を受け取った後、本丸の火山へ向かいます。

ここまでの旅程はこちら。

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人類絶滅後の世界観 雄山へ

雄山環状線林道と呼ばれる山腹をぐるっと囲う道路を通り、山の方向に向かいます。

道路の名前にもあるとおり、この山は雄山(おやま)という名前で、度重なる噴火を続けてきた活火山です。

噴火の歴史については旅程をたどる中でご紹介します。

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山頂方面に向かう道。ディストピア感満載



 

 

ひらけた場所に到着しました。

レンガで舗装された道に火山由来の土が覆いかぶさっています。

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もともとこのあたりは「牧場公園」と呼ばれる三宅村が運営する村営牧場でした。

当時は牛やヤギと触れ合える広場や、テニスコートをはじめとするアクティビティ施設もある、観光客と地元民の憩いの場でした。

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しかし、2000年に起きた大噴火により、一帯はマグマに覆われました。

死者は奇跡的に0ながら、人々は島外への避難を余儀なくされました。

一方、その場に放置された牧場の動物たちは、草木も死に絶えた島の中で、その生涯を終えることになりました。

 

 

そんな悲劇的な歴史をもつ牧場跡には、当時の凄惨さを示す遺構が残されています。

マグマに飲まれたのか、あるいは付随する爆風の被害を被ったのか、痛ましい姿のままになった廃墟がそこかしこにあります。

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内側を覗いてみます。多少の清掃は入ってるかもしれませんが、当時爆散したガラスや流入してきた瓦礫がそのままになっています。

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廃墟と化した建物は他にもたくさんあり、鉄骨がドロドロに溶けて原型を失っているものもありました。

中には1983年の噴火以来、放置されっぱなしのものもあるとのことです。

当時の牧場は復興の象徴みたいなものだったのでしょうか。

牧場に訪れた人が廃墟を見て「噴火って怖いね〜。今は綺麗になってよかったね〜。」みたいな会話をしていたのかもしれません。

結局牧場は1983年を上回る噴火に飲まれてしまうという、やるせ無い運命を辿ってしまいました。

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マグマが走ったであろう尾根の跡です。

遠くから見るとこんな感じに見えているところ。

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ちなみに、道路は山頂に向けて伸びており、噴火以前は火口を望めるハイキングコースでした。

しかし現在は火口が陥没し、絶えず高濃度なガスが噴出し続けているということで立ち入り禁止になっています。

したがって、現状このあたりが三宅島で到達できる最高峰になります。

 

 

荒野にこだまする無機質な機械音

左側にある青いのは牧場の遺構、サイロです。

その横にある筒型の白いものは噴火後に設置されたらしく、比較的新しい装置に見えました。

この筒からは「ポーン…ポーン…」という音がなり続けていて、誰もいない広大な山に延々とこだましていました。

これがとても不気味で、自分たち以外の人類が絶滅し、残された機械と共存する世界にいるような雰囲気を醸し出していました。

(こういう世界観をポストアポカリプスっていうらしいです。僕と友人は興奮しっぱなしでした)

 

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後から調べたところ、この筒は「ドップラーソーダー」というらしく、大気中の火山ガスの濃度を測るために設置されているそうです。

(雄山はこの時もモクモクとガスを吹き出していました。)

これほどまでに誰もいない、自然の音も聞こえない場所にいたのは初めてかもしれません。

 

 

緑が戻りつつある雄山

気象庁のHPに噴火前後の雄山の写真が保存されていました。

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噴火前

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噴火後

引用:気象庁


 

青々とした山の姿は一変し、見渡す限りの荒野です。

我々が訪れた時も、枯れ草を除き草木は一片として生えていませんでした。

しかし、2017年ごろには火山ガスが大幅に減り、徐々に緑が蘇り始めたそうです。

www.asahi.com

 

いつの日か植物に覆われた雄山も見てみたいものです。

気象庁のHPには他にも当時の噴火の凄まじさがわかる写真が掲載されているので、興味がある方はご覧ください。)

 

 

 

そんな感じで、三宅島のメインスポットを見終えた我々は宿に戻り、翌日の観光に備えました。

2日目に続きます。

 

 

それでは今日はこの辺で。

三宅島旅行記③ 死の森と埋もれた神社

海辺のHOWEVERロケ地を離れ、島の中腹あたりにある神社を目指します。

ちょうど海岸線を走っていた時に、枯れ木の林が見えていたあたりです。

真っ白な枯れ木の林の中に佇む神社、、、今回もRPGの匂いがします。

(海から森にフィールドが移るのも高ポイントです。出現モンスター変わりそう)

 

ここまでの旅程はこちらから。

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椎取(しいとり)神社へ

枯れ木が立ち並ぶ林を抜け、椎取神社に到着です。

白い枯れ木は2,000年に発生した大噴火の火山ガスによるもの。

今では徐々に緑も戻りつつあります。

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引用:三宅島観光協会

 

 

こっちが自分で撮った写真。

赤々とした鳥居が目立ちますが、これは噴火後に設置し直したものだそうです。

(奥の社殿も同様)

当時のものは噴火によって埋まってしまっています。

鹿児島の桜島でも同じようなものがあって、そちらは当時の鳥居が残っていたので、今回も探してみます。

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ありました。

超埋まってます。一番上の部分しか見えません。

復元された鳥居と同じサイズだとすると、4mくらいでしょうか?

噴火とんでもねえな…

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埋まった鳥居の近くに廃墟を発見。

一見すると物置小屋のようですが、他に建物が見当たらないあたり、社殿を兼ねたなんでも小屋みたいなものと想像します。

ススキに隠れてはっきりしませんが、これも噴火で埋もれているはず。

逆側に回り込んでみます。

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逆側から。バッチリ埋まってます。

木の雨戸?が泥でがっつり覆われています。泥には苔も生えていて、噴火以来手をつけていない感がありありと伝わってきます。

 

むしろこれだけ泥にさらわれても建物は崩壊せずに原型を保ってるんですね…木造なのにすごい。

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新社殿を奥に進むと、パワースポット感満載の神聖な場所に出ました。

火山岩で覆われた地表からは青々とした木々が生えています。枯れ木だらけの周辺の林とは対照的です。

 

RPG的には中盤〜終盤に訪れる精霊から物語上のキーアイテムをもらえる場所と考えるのが妥当でしょう。おそらくここに足を踏み入れた瞬間HP・MPが全快します。

その後もらったアイテムによって開かれたダンジョンで中ボス戦に突入します。

 

同行していた友人もゲーム好き、かつこの手のしょうもない話が大好きな人間だったので、ひとしきり設定を議論して遊んでいました。

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伊豆諸島には24の神社があり、そのうちの12社が三宅島に集中しているそうです。

はっきりとした理由は不明ですが、江戸時代の三宅島は流刑地であり、歌舞伎役者や当時の新興宗教の教祖など、多くの知識人も罪人としてこの島に送られました。

様々な文化のるつぼと化した三宅島には、今でも様々な伝説が残っています。

そんな「歴史の島」の側面を持つことが、神社を多く有する傍証なのかもしれません。

 

 

 

そろそろ日も暮れてきましが、次は本丸、島中央部の火山に向かいます。

一泊二日で魔王の居城に向かうというとんでもないせっかちプレイです。

 

 

 

 

それでは今日はこの辺で。

三宅島旅行記② 真っ黒で真っ赤な崖を歩く

伊豆諸島の真ん中に位置する三宅島青ヶ島除く)。

 

調布飛行場からプロペラ機にのり、1時間ほどで到着しました。

到着までの様子はこちらで。

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地獄を模した海岸線を歩く 

飛行場からガソリンスタンドに移動し、レンタカーを借ります。

借りたのは軽トラ。確か他に選択肢がなかった気がする。

MTだったら運転できるかな?と不安になりましたが、中身はAT。一安心です。

 

 

三宅島は目立った観光地がある島ではないので、とりあえず島の外周をぐるっと走ります。

島の作りはよくある真ん中が山、海沿いが生活道路の形です。

なので移動している時は一方が山、もう一方が海という景色が続きます。

 

山の方を見ると、白骨のように枯れ果てた木々がたくさん生えています。

三宅島は火山島で、今もモクモクと煙が吹き出しています。

その火山灰やらが作用してるのか。灰は酸性がどうのこうのとか聞いたことがあるけど、化学も植物も全く明るくないジャンルなので、妄想で収めて通り過ぎます。

 

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引用先:リーマンバックパッカーの一年一旅

 

 

 

岬に到着。車を停めて徒歩で周ります。

サタドー岬という名前のジオスポット。サタドーとはヒンディー語で「地獄」という意味があるらしいです。(名前の由来は諸説あり)

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地獄とはちと大げさなネーミングですが、言わんとしていることはわかります。

この世の終わりのような雰囲気を醸し出しています。山の頂上には魔王がいそうです。奥に見える建物は廃墟です。(すばらしい)

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崖っぺりはどこまでも真っ黒な大地が続いています。本州だと見たことが無い景色です。

ちょこちょこ生えてる枯れ草も「この荒廃した地だとこれが限界なんですヒーン」な雰囲気を増してて、この世の終わり感が一層強調されています。

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転がってる岩も凶悪です。

この岩を使って攻撃してくるモンスターが潜んでいることが予想されます。

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ちなみにGLAY「HOWEVER」のPVはこのあたりで撮影されたらしいです。

言われてみれば同じ景色だなあ…途中の建物は廃校になった小学校(次回記載)ですね。

(他のキャストは時代を感じるのにTERUは全く古臭くないなあ…すげえ)

www.youtube.com

 

 

中ボス(?)が潜む火口(?)へ

海沿いに火山口っぽいものを見つけました。近づいてみます。

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近づくにつれて土の色が赤くなっていきます。海と赤い崖と草原の現実離れしたコントラストに心奪われます。

この先にはストーリーで苦戦する中ボスがいそうです。

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到着。これ火口か…?火口ということにしておこう。

土が柔らかい。赤土ってマグマからできるんだ〜と一つ賢くなりました。

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中ボスごっこ。周りに誰もいないので大胆に演じます。

崖にぶつかる荒波の音しか聞こえないのが一層気分を盛り立てます。

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ちなみにこの穴、めっちゃでかいです。

火口(仮)近くに立つ友人。人間は自然の前ではかくも無力なものか。

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火口(仮)近くで一輪の禍々しい花を発見。

邪悪で完成された造形です。何かしらの魔力を帯びているのは間違いないでしょう。

これがないとボス戦に挑めない、あるいはボスを無力化できない系のイベントアイテムだと思われます。

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ファンタジーな世界観に超ご満悦の我々。

三宅島に観光する場所なんてなくね?とか言ってた半日前の自分たちはとんだ愚か者でした。

今までの旅行でもトップクラスの満足度を見せた海岸を離れ、次回は島の中腹、枯れた森と神社に向かいます。

 

 

 

 

それでは今日はこの辺で。

三宅島旅行記① プロペラ機は男心をくすぐる乗り物

伊豆諸島はどの島も個性があってワクワクします。

中でも三宅島はいい意味で予想を裏切られたというか、想像の数倍魅力的な島でした。

 

三宅島へのアクセスはプロペラ機がおすすめ 

三宅島に行くには二つの方法があります。

 

一つは。竹芝ふ頭を深夜に出発する大型客船に乗り、朝方に到着します。

www.tokaikisen.co.jp

 

竹芝ふ頭から伊豆諸島に向かう航路は二つあり、三宅島に行くには「三宅島・御蔵島八丈島航路」に乗船します。三宅島に到着した後、御蔵島八丈島に向かい、竹芝に帰ってきます。

(伊豆諸島って西側と東側に分かれてるから2種類の航路があるんですね)

 

島行きによくある小型のジェット船ではなく、大型客船が走っています。

船内で一泊するので、船室に宿泊設備があり、そのランクによって料金が変わります。一番安い雑魚寝席(2等室)は片道7,730円です。

 

ちなみに、この船(さるびあ丸)は1等室より特2等室の方が明らかに快適です。

1等室は15,450円、特2等室は先述のとおり11,590円と、1等室の方がランクは上なのですが、特2等室は個別ベットな一方、1等室は雑魚寝です。

船での宿泊は下から2番目のランクが一番コスパがいいというのは定説(?)ですが、1等室を選ぶ人いるんだろうか。

 

 

もう一つのアクセス方法はプロペラ機です。

東京と三宅島を1時間弱、船の7分の1くらいの時間で繋ぎます。

www.central-air.co.jp

東京側の乗り場は調布市にあります。この乗り場が絶妙にアクセスの悪い場所にあり、電車だけでは辿り着けません。

当時僕は三鷹に住んでいて、「調布なら隣だしサクッといけるな」と思っていたのですが、そんなわけもなく、バスだかタクシーだかに乗って向かった記憶があります。

ちょうどこの旅行の少し前に、調布飛行場に向かうプロペラ機が不時着する事故が起こっていたので、市街地から離れたアクセスもさもありなん、という感じです。

 

片道運賃は17,500円。船の雑魚寝席とは倍以上の開きがあります。

 

 

我々はプロペラ機でのアクセスを選択しました。

船で5:00に島に着いても何すればいいのよって感じだし、何より「初めてプロペラ機に乗る」というワクワク体験がたまりませんでした。

 

調布飛行場から三宅島へ

2017年3月、飛行場へ向かいました。

調布飛行場の周辺は国立天文台味の素スタジアム、その他いろんなスポーツグラウンドがあります。

飛行場建設の都合広い土地を確保する必要があったのか、都内でも屈指の広々とした場所です。

個人的にはこの一帯が大好きで、「都内とは思えない開放感!」みたいなキャッチコピーで十分成立する観光地だと思います。

 

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飛行場にあったどこにも繋がってない謎の階段。展望台?

 

いよいよ出発。

こんな感じのプロペラ機に乗り込みます。

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引用元:新中央航空株式会社HP

 

一般的な飛行機と比べると窮屈な機内。

座席はバスに近い作りです。

シートベルトを締めると、機長から

「離陸時は揺れが予想されるため、前の座席につかまってください

的なことをアナウンスしました。そんな指示ある?と笑いつつ、これ吐くんじゃねえかと若干の不安に襲われます。

 

プロペラ機が走り出します。滑走路とタイヤがぶつかる振動がダイレクトに伝わります。

いよいよ離陸。飛行機よりもお腹のあたりがフワッとする感覚が強く襲ってきます。

これ苦手な人は苦手だろうなーと思いつつ、それを上回る興奮に包まれます。

 

飛んでる間もプロペラ機はガンガン揺れます。気流に当たるたび(なのか?)、車が脱輪した時のような衝撃が襲ってきます。

移動手段というより、アトラクションに乗っている感覚に近いです。

 

悔やまれるのは、窓からの写真を撮り忘れたことです。

飛行機と比べて比較的低いところを飛ぶので、地上の様子がよく見えます。

キラキラと光る波立つ海。その上を猛スピードで舐めるように飛んでいます。

ヨットやジェットスキーに興じている人の姿もはっきりと確認できます。

なんというか、創作の世界でしか見たことがない景色が広がっていました。

 

 

 

あっという間に三宅島に到着。

こじんまりとした飛行場に降り立ち、屋内に移動します。

飛行場内は空港というより、フェリー乗り場のような雰囲気でした。

 

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三宅島は火山島です。島の中央が山になっていています。

山の方を見上げると、早くも内地とはどこか違う雰囲気を感じます。

生えてる植物はなんか原始的でトゲトゲしてるし、山の尾根の部分は真っ黒になっています。火山灰?マグマが走った後?

 

RPG感が出てきました。はやる気持ちを抑え、レンタカーを借りに行きます。

 

 

 

それでは今日はこの辺で。

武蔵野うどんってめっちゃ美味しいのになんで知名度低いんだろう

うどんが大好きな僕にとって、上京して一番嬉しかったことは「武蔵野うどん」を知れたことでした。

 

数あるうどんの中でもトップクラスに美味しいうどんなのに、いまいち知名度がありません。

 

自分の思い出の棚卸も含めて、武蔵野うどんの魅力をPRしようと思います。

 

アゴ疲労させるほどのコシ 武蔵野うどん

武蔵野うどんの最大の特徴はその太さとコシです。

大盛りにしようものなら、完食後には心地よい疲労感がアゴに広がります。

僕は「うどんはコシがあればあるほどいい」という急進派のため、初めて口にした時は感動を覚えました。

 

ちなみに僕が初めて武蔵野うどんを食べたのは三鷹駅構内の「いろり庵 きらく」です。

駅ナカ蕎麦屋のような気軽に入れる出で立ちですが、味は本格的です。

3年前までは通勤に三鷹駅を使っていたので、駅に帰ってきてうどんをすするのを心待ちにしていました。

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その太さが故に、噛むほどに麺の小麦感を楽しめます。

武蔵野うどんの麺は普通のうどんと比べて茶色がかっていて、塩気もやや強めです。

そのため、お出汁につけなくてもそのまま楽しめるほどに味と風味があります。

僕は武蔵野うどんを口にする時は、必ずつけ出汁につける前に数本すすり、「この麺が美味いんだよなあ」と悦に浸ってから食べ始めます。

 

 

つけ出汁がスタンダードな武蔵野うどん

前述の通り、武蔵野うどんはつけ麺やざるそばのように、手元のお出汁につけるスタイルです。

出汁は関東うどんらしく、醤油ベースの風味です。色はめんつゆのような黒味の強い見た目です。

塩気はあまり感じません。麺自体の味がしっかりしているので、邪魔にならないようバランスをとっている印象です。

 

お出汁には長ネギや豚肉が入っているパターンが多いです。

ラーメンのチャーシューのようにそれ自体が脚光を浴びるわけではなく、あくまでうどんの箸休めというか、うどんが続いて麻痺した口内をリセットさせる役割を担っている気がします。

 

埼玉と多摩の名物 関西ではあまり食べられない

名前の通り、旧武蔵国で食べられていたうどんであり、埼玉や東京の多摩エリアが発信地です。

後から知ったことですが、埼玉ってうどん消費量全国2位なんだそうです(1位は論ずる余地もなく香川)。

水はけの良い土地が多く、米より小麦の栽培に適しているのがその理由だそうです。

 

関西に住んでいた時は武蔵野うどんを提供している店を一度も見かけませんでした。

関西は讃岐うどんが最大派閥、梅田近辺に名店がひしめく生じょうゆうどんが時点、お出汁大好き関西人が愛してやまない京うどんなどなど、他のうどんで大渋滞しているから、武蔵野うどんが付け入る隙がないのかもしれません。

(ググったけど本当に1店舗もない…新大阪駅とかに作れば結構流行ると思う)

 

※余談ですが生じょうゆうどんの雄、大阪第3ビルの「はがくれ」が少し前に閉店しました…いつ行っても大行列だったなあ

tabelog.com

 

個人的に美味しかった武蔵野うどんのお店

ダントツで美味しかったのは国分寺駅の近くにある「甚五郎」。

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普通の武蔵野うどんよりちょっと太くてちょっと硬い。塩気も若干強い。僕にとってはパーフェクトなバランス感でした。

大盛りにすると一日何も食べなくてもいいくらいの超ボリュームで提供されます。よっぽど食いしん坊じゃなければ普通サイズが妥当です。

 

武蔵野うどん一本でも十分戦える名店ですが、冬季はすき焼きや特製きのこうどんを出したり、オリジナルメニューで攻める姿勢も忘れません。しかも全部美味いんだよなあ。

 

外観/内観は古い蚊取り線香のブリキの看板を打ちつけたり、昭和レトロな雰囲気を全面に押し出しています。

武蔵野うどんはいわゆる田舎うどんなので、昭和テイストな雰囲気と相性がいいです。

 

国分寺なんて他に用事ないのに週1くらいで通ってたなあ。わざわざ遠征する価値大アリの名店です。

 

 

 

 

もう一つあげるなら西東京市にある「手打ちうどん保谷

tabelog.com

 

武蔵野うどんにしては細めの麺で、濃さも全体的に控えめ。田舎うどん感が全面に出ています。

店構えや中の雰囲気も素晴らしい。おばちゃんが割烹着着て切り盛りする姿は「今田舎うどん食ってるんだなあ」という気分を盛り立てます。

 

店舗は多摩湖自転車道というサイクリングロードから少し外れた場所にあります。

西東京側から向かってゴールの西武ドーム付近にあるので、サイクリングロードの最果て感があります。

多摩湖自転車道は13kmしかない短い道ですが、沿道の雰囲気が良くて大好きでした。起伏がなくママチャリでも余裕で走破できるので、手打ちうどん保谷に行きがてら走ってほしいです。

 

 

 

それでは今日はこの辺で。

宮城蔵王キツネ村へ② キツネ以外もいるぞ キツネ村

長年の夢だった蔵王キツネ村に到着。

 

入口の謎のゴリラに気圧されつつも、いよいよ園内へ。

 

入園までの様子はこちら。

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キツネ以外の動物もいるキツネ村

入口付近はケージやウッドデッキなんかもあって、動物園らしい雰囲気のキツネ村。

ただ、前回記した通り、元々動物園を開くぞと息巻いて開園されたわけではない(と想像している)施設なので、飼育されているラインナップも謎のセンスが光っています。

 

 

まずはヤギ。ヤギは大型の動物園以外でもちょくちょく飼育されている印象。世話が楽なのだろうか。

蔵王キツネ村 ヤギ

近い

 

 

中にはこんなヤギもいた。ひょうきんな奴である。

 

 

 

 

次はアナグマ。ひょっとしたら付近で捕獲された個体なのかもしれない。かわいい顔して爪がワイルド。

蔵王キツネ村 アナグマ

近い

 

 

 

マーラ。足の長いウサギみたいな見た目。モルモットに近い種らしい。

蔵王キツネ村 マーラ

マーラ

 

 

 

 

ポニー。憂いを帯びた瞳が切ない。

蔵王キツネ村 ポニー

ポニー

 

 

 

カラス。

 

…カラス?

 

蔵王キツネ村が動物園と一線を画する所以である。

我々人間にとって最も身近な鳥類であるカラスをあろうことか展示しているのである。

 

施設のスタッフはどういう感情で「よし、カラスも展示してみるか」と思い立ったのだろうか。

(ひょっとしたらこいつは勝手に住み着いてるだけなのだろうか。)

 

 

 

いよいよキツネゾーンへ

カラスの洗礼を浴びた後、いよいよ本題のキツネゾーンに突入。

というかすでにそのあたりをウロウロしているキツネたちとすれ違い続けていたのだが、本腰を入れてキツネと対面する。

 

10匹20匹飼ってるくらいじゃない?

そんなわけはなかった。

 

 

 

蔵王キツネ村

 

この密度である。

これでほんの、ほんの一部なのだ。

 

 

 

おもむろに立ち上がったと思えば

 

 

エサを与えにきたスタッフに反応していました。

 

 

 

 

スタッフが去ったあとはこれである。

 

 

後ろのこいつなんてなんとふてぶてしいのだろう。人間だったら許されない。

 

 

色や見た目 個性豊かなキツネたち

一言にキツネと言っても、園内には様々なキツネがいる。

 

カラーバリエーションも豊富だ。

まずは黒いキツネ。

 

 

 

柵越しではあるがすんごい近づいてくれた。

 

 

 

 

次は白いキツネ。イケメン。幽白の蔵馬を思い出した。

 

 

 

バードケージで過ごす白キツネたち。

Bird cage of the fox(きつねの鳥かご)ってなんやねん。

 

 

 

黒と白の共演。神々しい。

 

 

 

 

野生を忘れてなさそうなワイルドな見た目のキツネもいた。

 

 

 

ひととおり終わったら寝た。

 

 

 

 

西日に当てられてまぶしそうな眼光のキツネ。

チベットスナギツネっぽい。

 

 

珠玉の蔵王キツネ村コレクション

ここからは個人的にお気に入りのキツネフォトを並べます。

 

 

まずはMVP。愛らしい寝顔のキツネ。

こいつは自分がかわいいことを自覚してるに違いない。

 

 

 

 

次に丸まって眠るキツネ。

完璧な円に近いフォルムが芸術的。

 

 

 

こんな感じで、地面より高くなってるところで眠る子が多いらしい。

 

 

 

これなんて見事な等間隔。彼らにもテリトリーがあるのだろう。

 

 

 

 

 

園内にはお稲荷様よろしく、神社や鳥居がある。

 

 

 

増えた。

 

 

 

芸術点高めの一枚。突き当たりまで行ったら人間に化けてそう。

 

 

 

 

最後に、園内ではキツネにエサを与えることができる。

エサをやるそぶりを見せると、皆はっとした顔つきでこちらを見つめる。

 

 

 

こいつなんてもう立ち上がってる。

 

 

 

キャッチする寸前。

 

 

 

真剣な眼差しでエサの行方を見守る二頭。

これもお気に入り。

 

 

 

おいでよ蔵王キツネ村

蔵王キツネ村は思った以上にキツネ村だった。

キツネは人になつかない動物と聞いていたが、想像よりもはるかに愛嬌があった。

 

しかもこの時は夏。厳冬期のもこもこ冬毛のポテンシャルをまだ残しているというのだから、行かないわけにはいかない。

 

銀山温泉やスキー場とセットで、また冬にリベンジしたいと思います。

単体でも満足度高めの施設なので、興味を持ってくださった方はぜひ。

 

 

 

それでは今日はこの辺で。

宮城蔵王キツネ村へ① たどり着くのが大変だ

キツネは数多いる動物の中でもトップクラスにイカした生き物だと思う。

 

犬よりも野性味溢れるシャープな顔つきと、機能美の究極系のような完成されたフォルムに思わず見とれてしまう。

 

あんなにイケメンなのになぜペット需要がないのか。
どうやら他の動物と比べて躾が容易ではないらしい。したがって日常の中でその姿を見ようとすると、動物園に足を運ぶしかない。

 

ただ、そこらの動物園で見るのは難易度が高い。

飼育しているところは多いのだが、日中は住処にこもって寝ていることが多い。

ゾウやライオンのようなスター動物ではないのに、その姿をなかなか見せてくれないいけずな動物である。

 

 

そんなキツネをたらふく見てやろうということで、名前は有名なのに実際に行ったこと人がほとんどいないことでおなじみの蔵王キツネ村に向かった。

 

公共交通機関だけではまずたどり着けない 宮城蔵王キツネ村

蔵王というだけあって、宮城と山形の県境の山深い場所にある施設である。

 

この蔵王キツネ村、なんとも形容しがたい立ち位置の施設で、大きな括りでは動物園にカテゴライズされるのだろうが、元々酪農を営んでいたオーナーが、知り合いの養殖キツネを引き取り、何か有効活用できないかということで一般に公開し始めたらしい。

 

つまり、動物園を開くぞ、と意気込んで始めたわけではなく、成り行き上結果的に動物園になった、というわけである。

気軽に足を運べない場所に立地しているのも、こういった背景が関係しているのかもしれない。

 

 

気軽に足を運べない、と前述したが、それなりに有名な施設である。最寄りのターミナルまで行けば直通のシャトルバスなり、何かしらの公共交通機関があるだろうと考えていた。

 

結論として、そんな便利なものは(ほぼ)ない。

厳密には近くの旅館がキツネ村に送迎バスを出してくれているのだが、その旅館に宿泊しないといけない。

コミュニティバスもあるが、本数が少なすぎて、前入りしてないと出発時間に間に合わない。

 

都内から向かうのならば、結局レンタカーを使うしかないのだ。

 

新幹線とレンタカーでキツネ村へ

2017年8月某日、都内からキツネ村に向けて出発。

上野から新幹線に乗り込み、福島県郡山駅に到着。

郡山は初めて降り立ったが、駅前に主要な施設がギュッと集まっているところが熱海駅と似た雰囲気を感じさせた。建物や人の密度に違いはあるが。

 

 

郡山からはレンタカーを用いて、1時間半ほどでキツネ村に到着。

のりを実際に自分で辿ると、改めてその山深さに驚かされた。

この施設が「蔵王イタチ村」とかだったら、おそらく誰も向かおうとしないだろうアクセス難易度と、キツネという動物の引力を感じさせられた。

 

キツネ村は自分の身は自分で守るスタイル

キツネ村に到着すると、大きな動物のモニュメントが出迎えてくれた。

 

 

蔵王キツネ村 入口

 

 

なぜゴリラなのか。

僕は間違ってゴリラ村に来てしまったのだろうか。

 

 

 

 

ゴリラの近くに説明書きがあった。

 

 

あんまり説明になってなかった。

この社長はなぜキツネではなくゴリラの像を選んだのか。

どんな背景があって500万円の像をポンとプレゼントしようと思ったのか。

なぜこの説明書きはもらった経緯ではなく制作費を全面に押し出そうとしたのか

 

もやもやが余計に膨らみつつも、これ以上の情報は得られなかったので、諦めてゴリラ横を通過した。

 

 

 

 

また、エントランスにはこんな注意書きがかけられていた。

 

当村は普通の動物園ではありません。危険です。

ケガや物損は保証できません。

全て自己責任です

 

 

キツネは人間に懐柔されないとは聞いていたが、半ば放し飼いされている手前、その野生は失われていないらしい。どうやら園内ではサバイバルな空間が展開されているようだ。

 

動物園に来たという甘えた心持ちは捨て、気を引き締めて受付に向かった。

 

 

 

そこそこ長くなってきたので、キツネ村内の様子はまた次回。

 

 

 

それでは今日はこの辺で。