轟の滝で出会った不思議な植物の話
今年の春に徳島県の轟の滝という場所に行きました。
徳島県の最南端、海陽町というところにある景勝地で、県庁所在地の徳島市から2時間半くらいかかる秘境と呼んで差し支えない場所です。
細い山道をえっちらおっちら進んで行くと、県内屈指の規模の滝が待っています。
比較的マイナーな観光地なので、ほぼ手付かずの大自然を独り占めできる隠れたパワースポットです。
個人的に徳島の観光地で西部の祖谷に次いで好きな場所です。
見たことない植物が…
そんな轟の滝に向かう道中を車で進んでいると、あるものが視界に入りました。
マイカーを停めて近づいてみると…
なんじゃこの花(?)は!
アップで撮った写真。
なんなんだ…ウツボカズラみたいな容器(?)の中に白いおもちみたいな玉が入ってる…
容器も自然界のものらしからぬビビッドな色合いしてるし…
で、玉を守るように傘みたいな葉っぱが生えてる…雨嫌いなの?容器の中に入るのは都合が悪いの?いや異物が入らないようにしてるのか…?
考えれば考えるほど不思議なこの植物。道なりに進むと他の場所にも自生していました。
2枚目の写真とか群生してるし…てかさっきのやつと全然色違うし…
さっきのやつとはまた違う種類?スライムとスライムベス的なやつなん?
とにかく造形がオシャレすぎる。日本の植物らしからぬ自己主張。
ひょっとして外来種なのか?徳島の山奥で人知れず生態系を壊してるスパイなん?
名もなきこの植物に謂れ無い疑惑が積み重なってきます。
地元の人に聞いてみよう
「さっぱりわからんな〜」と頭を傾げていると、一軒のお宅を発見。
軒先では家主と思われるおばあちゃんがイネ的な植物を加工していました。
轟の滝はまあまあえげつないレベルで山深いところで、住民と思われる人はこのおばあちゃん以外に見当たりませんでした。
「そうだ。この疑問をおばあちゃんにぶつけてみよう」
多分このおばあちゃんは長らくここに暮らしているはず。
この山のことでわからないことなどない…と思われる。
なんならこのおばあちゃんが外来種を放った張本人かもしれない。その時はしかるべき機関にしょっぴく必要がある。
(もちろんおばあちゃんはそんなことしてません)
ぼく「すいませーん」
おばあ「はいはいどうしたの」
ぼく「さっきこんな植物見つけたんですけど、名前とかご存知ですか?(写真を見せる)」
おばあ「あー、これはクマガイソウだよ」
…謎植物の名前がわかった。クマガイソウというらしい。
おばあちゃんいわくこのあたりの山ではポツポツ見られる植物で、これ目当てにやってくる観光客もいるらしい。
おばあちゃんと別れ、帰路に着く。
おばあちゃんどうやって生活してるんだろ。最寄りの店が到底最寄りと呼べなそうなくらい辺鄙なとこに住んでたけど買い物とかどうしてるんだろ。
やっぱああいうところで暮らしてる人はすごい。なんちゃって田舎暮らしに憧れてる僕なんてあのおばあちゃんから見たら「にわか乙wwwwwww」みたいな感じなんだろうな。
(もちろんおばあちゃんはそんなこと言ってません)
家に帰って調べてみる
家に帰って「超滝キレイだった…来年も絶対行くゾ☆」とか考えてたら、ふとクマガイソウのことを思い出した。
「不思議な植物だったなあ…結局何の仲間なんだろ?」
そう思って「クマガイソウ」で検索してみると…
全然違うじゃねーか!!
ばあちゃん違うよ…これ違う植物だよ…色違いとかそんなレベルじゃないよ…
こんな下ぶくれじゃなかったもん。どっちかというとスマートなイケメン草だったもん…
おばあちゃんは一体何年間あの植物を「クマガイソウ」だと思っていたのだろう…真実を伝えたい…クマガイソウの呪縛から解放してあげたい…
しかし、どうすればあの植物の名前がわかるんだ…唯一の手がかりだったおばあちゃんの線が消えたいま、もはや残された手立ては…ない…
…ということはなく、普通に撮った写真で画像検索しました。googleに感謝。
そうそうこれ。ユキモチソウという草らしい。
ユキモチソウはサトイモ科の植物で、白い雪のようなモチ的な突起物があるからそう呼ばれているらしい。
近畿や四国の林に自生していて、花屋さんでも観葉植物として売られているらしい。
確かにこのビジュアルは飾りたくなるなぁ。
轟の滝は超オススメ
そんなユキモチソウが自生している轟の滝、個人的に一度は訪れてほしい場所です。
川は超キレイだし
イケてる神社もあるし
なんてったって滝が綺麗。
ギリギリのところまで近づけるので、水しぶきも浴びれます。
車での行程は掛け値無しに大変ですが、駐車場から滝まではほど近いので足腰に不安がある方でも比較的容易にたどり着けます。
秋に行ってないからわかんないけど多分紅葉も綺麗。多分。
四国にお越しの際はぜひ思い切って足を伸ばしてみてください。
それでは今日はこの辺で。