小笠原旅行記⑧最終日中編 最後の父島ダウンタウン巡り
ホエールウォッチングを終え、滞在時間は残り3時間。
父島の風景を目に焼き付けるため、二見港周辺のエリアを歩き回ります。
ここまでの様子はこちらからどうぞ。
大村地区をぶらり&中華料理屋 海遊でランチ
まずは小笠原諸島最大の繁華街、大村をぶらぶらします。
この4日間で幾度となくお世話になった地区です。何度も通ったお店も、滞在期間で一番の晴天で、パンフレットの写真のように見えます。
小笠原での最後のご飯は二日前にも来た中華料理屋「海遊」。
前回来た時は名物の「アカバラーメン」と一緒に行った人が絶賛していた「パオハン」で迷った末、アカバラーメンを食べたので、心残りがないよう、パオハンをチョイスしました。
これがパオハンです。チャーハンにチーズとエビチリのようなソースがのっています。めちゃめちゃ絶品。
何気に付け合わせの漬物も美味しく、最後の島グルメにふさわしい一品でした。
海遊に入ると、滞在中お世話になった運送会社のおじさん二人とばったり会いました。
「また船で会いましょうね〜」みたいな話をしつつ、二人は先に退店。僕がお会計しようとすると、「お代はさっきの二人からいただいてますよ」と言われました。
こんなかっこいいおじさん、初めて出会ったかもしれません。しかも恩着せがましい様子は一切なし。お二人と同部屋になれて、本当に幸せでした。またどこかで会ったら恩返しさせてください。
昼食を食べた後は再び町をぶらぶらします。
父島はビビッドな配色の建物が多く、なんとなくアメリカっぽさを感じます。
一本裏の路地に入ると飲食店や土産屋が軒を連ねます。
裏路地を散策していると、長い階段を見つけました。
この先には島唯一の神社 大神山神社があるそうです。暑さは相当なものですが、登ってみます。
大神山公園展望台から島を眺める
この階段、想像以上の段数でした。島は山間部が多いのである程度登ることは覚悟していましたが、内地の数倍の紫外線を全身に浴びながらのアタックは20代の体をもってしても容易ではありませんでした。
階段の途中に土俵を見つけました。神社にはちょくちょくありますが、小笠原の雰囲気とマッチしてなくて、異様な印象を抱きました。
アメリカの統治から日本に返還されて以来、特に意識的に日本的な要素を導入したのでしょうか。それとも、1960~70年代に建立された神社を中心に土俵が設けられているのでしょうか。息絶え絶えの回らない頭で想像を広げます。
登頂。境内には厳かな雰囲気が漂いつつも、内地の神社のように木々が鬱蒼と生い茂っていないので、開放的でハイカラな見た目をしています。
手水舎は鳥が水浴びをしに来るらしく、引き戸で閉じられていました。この滞在中に出会った色鮮やかな鳥たちが訪れるのでしょうか。
神社の右手を見ると、遊歩道がありました。
この先には展望台があるようです。
かなりの高台にあるので、小笠原の最後にふさわしい景色が望めそうです。
遊歩道は極めて野生的ながら、しっかりと予算を投じて整備されています。
滞在中に要所要所で感じましたが、こういう手付かずの自然と人工的なデザインを融合させているところに、ここは遠く離れていても東京都なんだなあと実感します。
展望台はメイン展望台、パノラマ展望台、山頂展望台の3つがあります。
せっかくなので山頂に向かいます。
山頂展望台に向かう途中に、洞窟のようなトンネルがあります。
中は本物の洞窟。突き当たりには古びた柵と、工具?のようなものがあります。戦時中に使われていた洞窟でしょうか。説明書きみたいなものは周囲になく、今もわからないままです。少しの疑問を抱いたままの方がロマンが膨れあがるので、それはそれで良いことです。
トンネルを出口側から見ると、入口側より幾分ワイルドです。
改めて展望台から島を見渡します。
息を飲むほどに、ただただ綺麗です。
島、海、空、緑、町。いろんな要素が視界に詰まっています。
海辺の広場。出航を待つ人たちが日光浴しています。
灯台。この近くで釣りをしている人が連日たくさんいました。
小笠原生協。向かいのスーパー小祝と何度もはしごしました。
併設された小学校と中学校。島で育った子供のうち、どれくらい島を離れる子がいるのでしょうか。
海岸と反対側。観光客に向けたよそ行きの景色と違い、日本的な家屋が立ち並びんでいます。
遠巻きから見ると、かえって町の人たちの息づかいを感じられる気がします。
父島の風景をひとしきり堪能したところで、まだ訪れていなかった町に一番近いビーチ、大村海岸を目指します。
下り階段で下半身をいじめつつ、大村海岸に到着です。
写真には写っていませんが、出航を待つ観光客が多く詰め掛けていました。
ダウンタウンから徒歩1分の海岸 人々の生活のすぐそばにあるとは到底思えない色です。
次にこんな海の色を見るのはいつになるだろう。帰宅が現実味を帯びてきて、少しネガティブな感傷に浸ります。
小笠原最後の店 ハートロックカフェ
最後の最後に、ハートロックカフェに3回目の来店です。
どうしても飲んでおきたかった「小笠原コーヒー」を注文します。
本来、日本の緯度はコーヒーの生育に適していないのですが、小笠原と沖縄の一部だけはギリギリ要件を満たしているらしく(それでも理想値の北限よりさらに北ですが)、国産のコーヒーを飲めるのは極めて貴重です。
これが小笠原コーヒー。この一杯で1,500円です。
狭い小笠原ではコーヒー農家は数える程で、加えて台風にその出来高を左右されるため、生産が全く安定しません。このべらぼうな値段も決して観光地価格ではなく、需給バランスからはじき出される希少さ故です。
味はとても薄く、苦味も感じられません。酸味が一番目立っているでしょうか。
味だけでいうと好みではありません。しかし、この味が小笠原の思い出の1ページになったり、似た香りを嗅いだ時に想起するだけでも、この一杯には価値があります。
時間は午後2時を過ぎました。いよいよ出航の時間が迫ってきました。
コーヒーを流し込み、船着場へと向かいます。
それでは今日はこの辺で。